企業の情報システム構築はまず社員意識の構築から(2)

 情報システムへの投資が期待した効果を出せない背景には、私は多くのケースでユーザ部門や経営者にも大きな責任があると思います。
 営業や生産管理、調達部門など企業の中のユーザ部門の人間にとって情報システムは「空気」の様なモノです。情報システム部門から「どんな空気が良いですか?」と聞かれても、「ちゃんと息ができればいい。酸素や窒素の割合がどの位と言われても、専門家じゃないからわかるわけないだろう」と、素っ気ない回答が帰ってきます。ユーザ部門に所属しているかぎり、情報システムの構築に力を貸しても、業務の成果は上がらないこともユーザが乗ってこない原因のひとつです。
 経営陣も同様だと思います。どんな企業にとっても基幹情報システムの構築は大きな投資になりますから、担当の役員は一応決められますが、担当となった役員にとっては頭痛の種でしかありません。情報システムは「空気」の様なモノですから、うまく出来て当たり前です。失敗すれば責任を問われるからです。経験があって任せられる人間が社内にいなければ、信頼できそうな業者を見つけて任せ、なんとか失敗しないように祈るしかありません。
 そんな中で基幹情報システム構築を一手に任される情報システム部門の担当は大変です。大規模な基幹情報システムの構築など、十年に1回か、十五年に1回ですから、担当者にとっても大体は初体験です。経験があったとしても、若い頃にプログラマーとして参加した位で、プロジェクト管理の経験などありません。普段は十名足らずのメンバーで情報システムの維持作業を行っているところに、突然数十人のSEの大部隊を任される訳ですから、人の管理だけだって大変です。
 そこでにわか仕込みでPMBOKの様なプロジェクトマネジメントの本を読んでは、一通り手順に沿ってユーザの声を収集しながら、企画や設計の作業を進めますがスケジュールばかり進んでしまい、「これだけで本当にユーザの意見は反映されているのだろうか?」と言った不安はいつも気持ちの中に同居しています。
 そんな中で情報システム会社から派遣されるプロジェクトマネージャーだけが、相談相手となります。しかし、「専門家」と言われる彼らの中でも、真のプロジェクトマネジメントのプロと呼べる人間はごく僅かしか居ません。プロジェクトが進むに連れて、その実体がすこしずつ分かってきます。K
(次回は最終回です)

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投稿者:KAINOSHO [ 管理者編集 ]

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