企業DNAの継承

昔から「企業はひとなり」とよく言われます。しかし、ひとには年齢があります。その中で企業を支える「ひとのDNA」はいかに継承されていくのでしょうか?
生物の遺伝メカニズムを実社会に応用しようとする研究のひとつの「遺伝的アルゴリズム(GA)」があります。GAは人間の経済活動の中で必要となる最適化問題を解く方法のひとつとして、現在では幅広く活用されています。
少し専門的な話になりますが、GAでは最適化すべき対象を遺伝子の形で定義し、その構成要素を交叉や突然変異などの遺伝子操作を行うことで変化させ、与えられた条件に最適な遺伝子を見つけていきます。 生物の世界ではかならず親があるわけですから、子どもの遺伝子は親の遺伝子のコピーをスタートポイントとして組み換えが始まります。
一方、企業の中でのDNA、いわゆるOXイズムと呼ばれるような社風や精神を継承していく場合、新入社員がすでにいる社員の子どもとは限りませんから(意外と多いのかも知れませんが)、現社員のDNAを何らかの方法で新入社員にコピーしませんと、企業のDNAは継承されず、「ひと」が入れ替わるたびに、まったく新しい会社のDNAが出来上がってしまうことになりかねません。 そうなりますと、折角これまで企業の事業継続を支えてきたDNAが継承されず、企業の強みも世代交代と共に失われる結果となります。
近年、企業内でのナレッジマネジメントの大切さがよく話題に上がりますが、その内容はどうも、文字や数字で表わせるような「知識」や「個々の技術」に関する情報が中心で、本来の企業の強さの源であるDNAの継承を目指したものは少ないようです。
「市場は日々変化するのだから、古いDNAなど継承しなくて良い」と思われる方もいると思います。しかし、生物の世界でも子孫の存続のために、これまでその種族の存続を支えたDNAを受け継ぎながら、外部(オスとメス)との交流や、突然変異によってDNAを磨き、新しい環境に適合できる種族へと変身していきます。
企業でも「知識」や「個々の技術」だけでなく、社風や企業風土といった部分を、新入社員にしっかり伝える努力が必要だと思います。最近の職場では、上司と部下との「飲みニュケーション」も特に減ってきていますので、ここは真剣に考えませんと我が国の企業にとって風土の継承は「風前の灯」の状況だと思います。
ここ数年で多くの企業が導入した「成果主義」も、社員同士のコミュニケーションを失わせる方向で作用しているのが実状です。貴方の会社や部署のDNA継承、仕事や職場への誇りの継承は、しっかりできているでしょうか?インナーブランディングはこのための有効な手段のひとつです。  K

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投稿者:KAINOSHO [ 管理者編集 ]

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