経営トップのブランド構築への役割

 「ブランド構築は経営トップ自身が取組むべき仕事である」という認識は、今日では広く理解されるようになりました。確かに経営トップが強いリーダーシップを発揮したブランド構築活動は、社員の意識改革に絶大な効果があります。しかし、ブランド構築に取組むすべての企業で、経営トップが強いリーダーシップを発揮できるとは限りません。
 戦国時代の武将にも信長・秀吉・家康の3タイプがあるように、会社の経営トップにもそれぞれ個性のあるリーダーシップのスタイルがあります。TVなどのメディアによく登場する経営トップには信長スタイルの経営者が多いようですが、日本人の性格を考えますと、経営トップが自分の考えを早く出すことで社員全員がその意見に賛同してしまい、結果としていろいろな意見が出なくなってしまうことが多いのも事実です。そのために、あえて自分の意見を強く出さないことで社内のいろいろな意見を出させようとする経営スタイルのトップも存在します。
 そのような会社では、ブランド構築においても経営トップがブランドの方向性や実現方法について、自分の意見を前面に出して社内を引っ張っていく形にはなりません。社内の総意としてのブランドの方向性作りや、ボトムアップによるブランド構築活動の実践が必要となってきます。
 このような形でブランド構築を進める企業では、ブランド構築を推進する担当部署の役割は通常よりもさらに重要になります。社内各部門の根回しや、社員各層への啓蒙活動に根気強く取組むことが求められます。担当者の苦労も大変なものとなりますが、その分やりがいも大きくなります。なぜならば本来、経営トップでないと出来ないブランド構築の推進役を担当クラスの社員が代わって行えるのですから...
 経営トップが強いリーダーシップを発揮しないスタイルの企業であっても、ブランド構築を進める上で経営トップに必ず取組んで頂きたいポイントがいくつかあります。
 その一つ目は、全社員への年頭の挨拶や毎月の全体会議などの場で、必ずブランド構築の重要性とすべての部門と全社員の当事者としての行動が必要であることに、「毎回必ず」触れて頂くことです。経営トップの一言には、何枚社内ポスターを貼り出しても、どんなにすばらしいブランドブックを作ってもかないません。経営トップが毎回必ずブランド構築への意欲を示すだけで、ブランド推進部署の仕事の効果は飛躍的に高まります。
 経営トップの役割のもうひとつは、経営層・管理職による「ブランド構築活動への無視」に目を光らせて、もしもそのようなケースを発見した場合には、はっきりと注意を与えることです。日頃から業績に対して責任を持たされている経営層・管理職の人間は、ブランド構築といっても「そんなことを言っている暇があれば...」という言葉や態度を示すことがよくあります。しかし、このような経営層・管理職の態度が放置されれば、いくら担当レベルの意識が高まっても、その部署でのブランド構築活動は凍結されてしまいます。
 会社の評判ともいえる企業ブランド構築は、基本的には経営トップの仕事そのものです。それを成功させるために必要な経営トップの役割は、だれにもまして重要なことを肝に銘じて頂きたいと思います。 K

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投稿者:KAINOSHO [ 管理者編集 ]

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